もっと「水」のことを知りたい!

~子育てママが知っておきたい水の種類とその特徴~

第1回目は、主に子育て中のママたちの水に関する疑問や悩みを解決!子どもにとって安心・安全なお水ってどんな水? 子どものいる暮らしの中での水との賢い付き合い方を学びます。

先生が話している

アクアソムリエ 山中 亜希さん

毎日、どんな水を飲んでいますか?――そう質問をしたら、きっと様々な答えが返ってくることでしょう。蛇口をひねって出てくる水道水、湯冷まし、浄水器を利用した水、室内にウォーターサーバーを置いている、ペットボトルで購入した水などなど。


では、こう聞いたらどうでしょう。どんな水が飲みたいですか? この答えはきっと共通しているのではないでしょうか。「安全で」「きれいで」「おいしい」水が飲みたい!と。


でも、その安全できれいでおいしい水ってどういう水のことを指すのでしょうか? 基準はどこにあるの? 改めて考えると、水のことをほとんど知らない、これまでしっかり考えたことがなかったことに気づきます。


そこでこの特集では水に関する専門家、アクアソムリエの山中亜希さんに日々の生活や子育ての中で知っておきたい水の知識について教えていただきます。

  • 水が子どもの身体にあたえる影響

    子どもの身体は約70%以上が水によって構成されていて(大人の場合は約60%)、体内で水は生命維持のためにさまざまな役割を持っています。そのうちのひとつが「老廃物の排出」。知らず知らずのうちに体の中に取り入れてしまった「本来とってはいけないもの」は水を積極的に飲むことで、外に出すことができるのです。

    また、離乳食デビューをした赤ちゃんや幼児期に気になるのが「お水の摂り方」。子どもはよく動いて汗をかきやすいので、脱水症状にならないように気をつけなければいけません。水は生命の維持に欠かせないだけでなく、体内の栄養運搬を手助けしますから、水分を意識して摂取することが、子どもの健やかな成長につながるのです。

  • 子どもが1日に必要な水分量って?

    3歳児が1日に必要な水の摂取量は約1.2~1.5リットルと、成人の必要摂取量とあまり差はありません。これは腎臓が未発達なために水分をうまく再吸収できないことや、体重1キロあたりの必須水分量が、大人よりも多いことが理由です。また子どもは代謝が良く、汗もたっぷりかきますから、乾きやすい身体でもあるのです。

    子どもには積極的に水分を摂取させた方が良いのですが、どんな水でも良いわけではありません。水は体内をめぐり、健康な身体をつくる手伝いをしています。漫然と選ぶのではなく、飲む水の「質」にもこだわりましょう。

  • 水には「軟水」と「硬水」がある

    水はよく「軟水」と「硬水」という呼び方で区別します。その2つの違いをまずは覚えましょう。

    水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量が少ないものを軟水と呼びます。日本の水はほとんどがこの軟水です。飲んだ時の印象としては「まろやかな口当たり」で「さっぱりとしている」ので、するするっとのどを通ります。日本では、蛇口をひねって出て来る水のほとんどが軟水です。

    赤ちゃんに与えるミルクを溶くためのお湯や離乳食を作るときにも、日本のメーカーが作っている製品は基本的には「日本の水」つまり軟水を使用することが前提となっています。

    軟水の写真

    軟水は優しい口当たり

  • 硬水は軟水に比べて水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量が多いのが特徴です。水の硬度はその水が流れる土地の地質や地形によって決まります。ヨーロッパの水に硬水が多いのは、石炭岩層の土地を緩やかに川が流れているため、じっくりとミネラル分を貯めこんでいくから。硬水は「重い口当たり」で「苦みがある」と感じる人もいます。

  • 水は毎日摂るものだから影響も大きい

    日本の水道水は世界に比べても水質基準が高く、とても安全です。ただ、安全のために加えられている塩素の身体への影響が少し気になるところです。というのも、水は毎日、一生に渡って継続的に摂取するもの。微量といえども塩素を摂り続けることは、できれば避けたいという気になります。

    水道の写真

    水道水は、塩素消毒を行うことで殺菌している

  • 水道水の塩素が気になる場合は、「浄水」という方法も

    浄水器には「ビルトイン型」や水栓と一体になった「内蔵型」、蛇口に直接付ける「蛇口直結型」など様々なタイプのものがあります。手軽に使えるポットタイプのものなどをお使いの家庭も多いでしょう。浄水器は、水道水の中に含まれる残留塩素やトリハロメタン等の物質を除去または減少させる働きを持っています。その除去性能は浄水器によって差があります。


    水道水に残った塩素成分は、例えば野菜を洗う時にビタミンを損なうということもあります。水を大量に使う離乳食やミルクづくり、子どもが口にする食べ物を調理する際には浄水器の水を使うことを習慣にしたいものです。

    浄水器の写真

    浄水器は安心でおいしい水を手軽に利用できる

  • 子どものときから水を飲む習慣を

    乳幼児はいままでミルクで水分補給をおこなっていたため、水を飲むという習慣がありません。水を飲むのを嫌がるからといって、甘いジュースやスポーツドリンクばかりを飲ませてしまうとクセになってしまい、将来水嫌いの子どもに成長してしまう恐れがあります。それに糖分たっぷりのドリンクばかり好むようになってしまっては、子どもの健康も心配ですね。


    はじめは少量ずつでも良いので、水分補給の際に水を与えて「喉がかわいたら飲むもの=水」と身体に覚えさせてみるのも良いでしょう。子どもが水分を欲しがっているタイミングが分からない場合は、尿の色で判断してみてください。尿が濃い黄色になっている場合は、水分が足りていないというサインになります。


    むりやり多量の水を飲ませるのではなく、1日7~8回に分けてこまめに水分補給することで、水を飲む習慣が付けやすくなります。今のうちから、きちんと水の美味しさを伝えられるよう「水での水分補給」をしていきたいものです。


    次回は毎日の食事と水の相性や関係性についてお話します。


    監修:山中 亜希さん

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山中 亜希先生 プロフィール

2004年にイタリアにて日本人初のアクアソムリエの資格を取得。2008年4月よりミネラルウォーター専門スクール「AQUADEMIA」を開校し、校長に就任する。ミネラルウォーターの正しい知識や情報の普及のために、セミナーや講演、企業へのコンサルティング業務などをおこなっている。